朝5時。サラート(礼拝)を呼び掛けるアザーンから1日が始まる。ワインの産地としても知られるほど降水量に恵まれ、湧水地も点在するこの辺りでもこんな長雨は珍しいと、宿の主人が教えてくれた。濡れた石畳、赤みを帯びる城壁、柔らかい光線。古都の風情を楽しむには、こんな雨の日も悪くないと思った。
現在のモロッコに繋がる王朝を繁栄させたムーレイ・イスマイルが17世紀に築いた都がメクネスだ。城壁に囲まれたメディナ(旧市街)、周辺の古代遺跡が世界文化遺産に登録されており、中でもマンスール門はアフリカで最も美しい門として知られている。古代ローマ時代の遺跡群、イスラムとヨーロッパ建築との融合、迷宮のようなメディナの路地、それらが一体となった独特の景観は、混沌というよりむしろ、伝統も新しい文化も許容し、人々の暮らしと共にゆっくりと変化し続ける包容力を感じる。
古都メクネスを行くプリウスPHV
明日はアトラス山脈を越えてサハラ砂漠の入り口へ。