ルートマップ
北海から吹き込む風でしんしんと冷え込む石畳を、カラフルなコートの襟を立ててパリジェンヌ達が行き交うパリ。“花の都”には尚早だが、それでもマロニエ並木から早春の気配漂うシャンゼリーゼ通りの凱旋門ランナバウト(rond-point)からこの旅が始まる。
スペイン南端まで約2,000kmを一気に南下し、アルボラン海と大西洋の潮流渦巻くジブラルタル海峡を越えれば、いよいよアフリカ大陸だ。日を追うごとに気温がぐんぐん上がり、モロッコ東南に広がるメルズーガ砂丘群に着く頃、陽があるうちはTシャツでも暑いぐらいだろう。しかし翌日には一転、標高4,000mのツブカル山を望むオート・アトラス山脈を越えるルートでは積雪も予想されるほど気温が急下降する。
ベルベル語で「神の国」を意味するマラケシュからさらに南下してサハラ砂漠深部へ分け入ると、灼熱の陽射しとアリ地獄のような砂が征く手を阻む。いくつもの国境を越えてダカールを目指す旅は、とても一筋縄では行かないだろう。急激な温度変化、多様なロードコンディションは、クルマにも人にもタフな挑戦となるに違いない。
チームACPは、2001年1月に初代プリウスで今回と同様のルートに挑戦し、「世界初のハイブリッドカーによるサハラ砂漠縦断」を成功させた実績がある。17年間の時の流れが、自然環境や人々の暮らしぶりをどんな風に変化させただろうか。毎年、1万平米以上も拡大していると言うサハラ砂漠を食い止める植樹の努力は実を結んだのか?レアメタルの鉱脈へ続く道路や電力などのインフラ事情は?メンバー全員の五感を研ぎ澄ませレポートしたいと思う。
パリーダカールは我々のルーツだ。1979年、サハラ砂漠を縦断するクロスカントリーラリー パリ・ダカールラリーに出場するために結成された日本自動車連盟(JAF)の公認チームが「Adventurer club Team ACP」である。