モーリタニアの憂鬱

モーリタニア。この耳障りの良い遥かなる国のことを、いったいどれだけの日本人が理解しているだろうか。かく言うボクもサハラ砂漠大西洋側にあって、スーパーで売られているタコの産地に記載されている国、ぐらいの知識しかなかった。(日本のタコ消費量の3割がモーリタニア産だから嫌でも目に付く。ちなみに、こちらの人たちは不気味な見た目から食べる習慣はない。)

 

この旅を始めるためにネットサーチ、書籍、現地を訪れた方々からの情報をインプットしていたからだろうか、現地に来て実際に目にしたモーリタニアの現状から、この国が抱える憂鬱が垣間みえた。日本の2.7倍の国土に410万人に満たない人が暮らすサハラ砂漠に懐かれたモーリタニアは貧困に喘ぎながら、つい最近まで国境紛争や軍事クーデターが頻発する不安定な情勢のため、国際援助も遠のき経済発展が立ち遅れた。この数年で情勢は好転しつつあるが、人種による貧富差の拡大とともに都市と地方との経済格差も問題となっている。

 

ヌアクショットの宿泊先の目の前には立派な門構えの広大な超豪邸が。手入れが行き届いた中庭に放たれた優雅な孔雀の群が飛び交っている。一方、通りを挟んだ空き地に立ち並ぶ棒切れと布でできたテントから無表情で出入りする人たち。この強烈な対比がモーリタニアのアンバランスな状況を如実に表していた。人種差別や蔓延る役人の賄賂体質のほか、砂漠拡大や害虫被害など自然災害。課題は山積しているが、全てのモーリタニアの人たちが笑顔で暮らせる日が来ることを願うばかりだ。

 

鉄鉱石を運ぶ世界最長(約3km)の貨物列車「アイアントレイン」とスライド!モーリタニア鉄道はズエラットとヌアディブを結ぶ経済の要だ。

 

ガソリンスタンドに入ると勝手に窓を拭かれて賃金を要求してくる。砂まみれだったので2台をきれいにしてももらって100ウギア(31円)。

 

数キロおきに検問がありパスポートの提示を求められる。

 

所どころで砂に呑み込まれそうな場所があり注意が必要だ。

 

除雪車ならぬ「除砂車」が日々、砂と戦っている。

 

街を外れると簡素な建物が延々と続く。

 

子供達の澄んだ瞳と笑顔は世界共通の宝物。

 

ロバに台車を牽かせる「シャレット」。近年クルマの台数が急増しているヌアクショットでは交通渋滞の一因になっているという。

 

急速な経済発展と格差、治安、混沌に喘ぐ首都ヌアクショット。

 

サハラ砂漠の傍で経済発展と貧富格差に喘ぐモーリタニア

 

これまでにNGO活動でモーリタニアを訪れ、日本の技術を残していった多くの若者たちに敬意を表します。

 

明日は最後の国境を越えてセネガルへ!終盤の冒険もお楽しみに。