夜遅く、海辺の街タンタンに着いた。宿泊先の食事時間はすでに終了していたので、地元の漁師が集まりそうな露天へ。おすすめだというイワシと肉を炭火で焼いてもらい、硬いパンと共にコーラで一気に流し込む。今日も長時間走ってくたびれた身体にサハラの食べ物が沁み渡ってゆく。
いまだ天候は回復せず、漆黒の海岸からは“ドドーン”と荒れた波が打ち付ける音が響いている。湿気を帯びた部屋は建てつけが悪く、どこを開閉するのもひと苦労するし、気温10度を下回っているのに、シャワーは当然のように冷水だ。だけどメンバーみんながこんな状況を楽しんでいる。不便で不潔で砂まみれのサハラ砂漠を満喫している。
タルファーヤ ウインドファーム
モロッコ南西部のタルファヤ(Tarfaya)には、アフリカ最大の風力発電所が2015年から本格操業している。約1万ヘクタールの土地に80m級ブレードの風車131基が設置され最大発電量は30万kwh、数十万世帯分の電力を供給する。実際に現場を訪れてみると、目の前にある巨大な風車の列を目で追った先には、鉛筆の先ほどの風車が回っているように見える。これが同じ大きさだと言うのだから、その規模の大きさに驚かされる。
モロッコは化石燃料が産出されず、日本と同様にエネルギー資源の9割以上を輸入に頼っている。海外からの資金調達や観光資源の掘り起こしで経済成長率4.5%を超える昨今の好景気を背景に、2020年までにエネルギー需要の4割を自然エネルギーに託す計画が進められており、南アトラス山麓の乾燥地帯にあるワルザザート近郊で16万kwh級の太陽光発電所が稼働を始めるなど、積極的な自然エネルギーへの転換期を向かえている。
サハラ西海岸、風力発電ファームを行くプリウスPHV
明日は「サハラ第3ルート」をさらに南下します。