北アフリカの天井「アトラス山脈」を越えて

冠雪が美しい連山を望むザイダという小さな町で目覚めた。突然の雨、輝くような虹の後、強烈な日差しと突風。変化の激しい、いかにも山の天候を実感しながらのスタートとなった。ひとつ目の峠に差し掛かる辺りから濃霧に見舞われ、視界は10mにも満たない。歩くようなペースで次の峠を越えるまで我慢の走りを続け、最後のコーナーを抜けたところで景色は一変した。

 

輝く青空に映える赤茶けた岩肌の迫力に思わず感嘆の声が上がる。点在するオアシスの村に魅了され、エメラルドグリーンの天井湖の美しさに思わず息を呑む。山の頂きから次々と湧き上がる表情豊かな雲の一団が山並みに沿って南へと流れて行く。さぁ、あの雲を追って褐色の地平線を目指そう!サハラ砂漠はもうすぐそこまで迫っている。

 

モロッコの最高峰ツブカル山(4,167m)からアルジェリアに掛けて2,400km連なるアトラス山脈は、越えるルートによって北から、リフ山脈、モワヤンアトラス山脈、オートアトラス山脈、アンティアトラス山脈の4つに分けられている。我々がメクネスから越えたルートはモワヤンアトラス山脈だ。通称「中アトラス」と呼ばれている比較的走りやすい峠道だが、周囲の山々は万年雪を冠し、剥き出しの地層からは、アトラス山脈が誕生した時の激しさを物語る荒々しさを間近で見る事ができる。

 

視界10m以下、走り出してすぐに濃霧に見舞われた。

 

かつて海底だったアトラス山脈の地層はアンモナイト、三葉虫など古生代海洋生物化石の宝庫だ。

 

海抜2,100m。エメラルドグリーンに輝く天井湖「Lake Aguelmame Sidi Ali」

 

剥き出しの古い地層の渓谷にはオアシスの村が点在する

 

ナツメヤシやウチワサボテンなどの収穫物を運ぶオアシスの民。

 

下り初めて数時間。標高500mを切ると周辺の緑が増えてくる。

 

自然公園内には多くの野生動物が棲息していて、ホーストレッキングで見て回ることができる。

 

岩陰から恐竜が顔を出してもおかしくないような荒々しい景観が続く。

 

アフリカではめずらしいスキーリゾートも開設している。

 

この写真からアフリカを連想するのは難しいだろう。

 

万年雪を冠するあの山脈を越えればサハラ砂漠はもうすぐだ。

 

モワヤンアトラス山脈を行くプリウスPHV

 

明日はいよいよサハラ砂漠。美しい砂丘群を訪れます。