東西南北の“端っこ”は、どこも同じように陽の光が眩しく、時折よろけそうになるほどの強い風が吹く。MIRAIで日本本土四極踏破を目指した2年越しの夢が、ついに叶う時が来た。
鴨池・垂水フェリーで大隈半島へ
南九州訪問のキーポイントである「かごしま水素ステーション」が年次自主検査のため長期休業するニュースリリースを出したのが4日前、まさに青天の霹靂である。すでにルートとスケジュールを決めていたのだが、このままでは次の水素ステーションまで届きそうにない。あと数十キロ足りないのだ。
何か解決策はないものかとGoogleマップと睨めっこしていたら、海上の点線に目が止まった。そうだ、フェリーだ。薩摩半島側の鹿児島から大隅半島垂水まで海上を移動すれば、鹿児島湾をぐるりと周るルートをパスすることが出来るじゃないか。距離を確かめると85kmも短縮出来ることがわかり、迷わず鴨池・垂水フェリーで渡ることにした。
フェリーは事前手続きもなく、車列に並んですぐに乗船することができるお手軽なもの。対岸の垂水港へは45分ほどで到着する。遮るものがない海上から望む勇壮な桜島の、まぁ見事なこと。トラブルも時には良い結果をもたらすものかも知れない。
垂水から佐多岬までのルートは、薩摩半島の開聞岳を右に、左には石灰岩が顕になった独特の景観をもつ肝属山地の景趣に眼を奪われるが油断は禁物。岬を越えるたびに激しいアップダウンが続くので水素消費量には、より一層の注意を払わなければならない。
そうして辿り着いた最後の“端っこ”最南端佐多岬を踏破し、FCV(水素燃料電池車)初の日本本土四極をコンプリートすることができた。
今日の動画 最南端佐多岬踏破
日本本土四極踏破の意味とは
現在営業している水素ステーションで、果たして日本中を旅できるのか?そんな疑問から生まれたこの挑戦。最寄りの水素ステーションからの距離とMIRAIの航続距離を机上でシミュレートした限りでは十分可能と判断したが、水素ステーションには定休日や営業時間の制限もある。
また、少しのトラブルでその後の旅を諦めなければならない事態も考えられる。例えば渋滞に巻き込まれ水素ステーションの営業時間に間に合わないとか、通行止めでルートの変更を強いられて大幅に距離が伸びてしまい、水素を使い切ってしまうとか…。不安要素を並べ、可能な限り代案を用意した上で、全ての要素をパズルのように組み立てて初めて叶った夢なのだ。